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中小企業支援・政策システム ――金融を中心とした体系化――

村本孜著

出版年月2015年7月

SBNコード978-4-901916-44-8

本体価格  6,800円

A5判

頁数・縦601

 

執筆者

村本 孜(むらもと・つとむ)

1945年生まれ。1973年一橋大学大学院修了。同年から成城大学に勤務。経済学部専任講師・助教授・教授を経て、2005年から新設の社会イノベーション学部教授。この間、中小企業政策審議会委員、金融庁参事・金融機能強化審査会長・金融審議会専門委員、情報通信審議会委員などを務める。2004年から2010年まで(独)中小企業基盤整備機構副理事長兼務。著書に、『現代国際通貨論』(有斐閣、1985年)、『現代日本の住宅金融システム』(千倉書房、1986年)、『制度改革とリテール金融』(有斐閣、1994年)、『リレーションシップ・バンキングと金融システム』(東洋経済新報社、2005年)、『リレーションシップバンキングと知的資産』(金融財政事情研究会、2010年)、『信用金庫論』(金融財政事情研究会、2015年)、『元気な中小企業を育てる』(蒼天社出版、2015年)など多数。 

内容

はしがきより

 イノベーションの必要性が言われて久しい。平成デフレの克服とともに、長期的課題である総人口が減少する社会への備えが求められている。人口減少は、国全体の総人口減(パイの縮小)という問題と、地方から大都市部への人口移動による地方部での著しい人口減少(地方部の疲弊)という問題を提起する。人口減の著しい地域では経済活動が弱体化する一方、都市部へは若い世代が移住するので高齢者が取り残され、地方は超高齢社会になる。現下の政策課題が、地方創生といわれるのも、この総人口の減少と地方部での経済活動の疲弊への対応にあるからである。この地方創生こそ地域イノベーションで、その実現が最重要の課題である。
 地域イノベーションは、イノベーションのコンテクストからすれば、単に技術革新や経営革新に集約されるものではない。社会や生活そのもののイノベーションこそ、地方創生に繋がるものである。特に、その担い手の存在は不可欠である。このような担い手をイノベーターというが、地方部ではイノベーター自体が存在しなかったり、存在しても有効に機能していない場合も多い。
 少なくとも経済の分野では、イノベーションを担うのは企業であり、それも機動力のある中小企業である。中小企業をイノベーターとして捉えると、すぐにベンチャー企業を思い浮かべるが、既存の中小企業もサポーティング・インダストリーとして磨いた技術・技能などによって新たな分野にイノベーターとして活躍しているケースも多い。
 地方創生・地域イノベーションのコンテクストでは、その担い手の主なプレーヤーは中小企業である。地場産業・地元企業は雇用の受け皿であるし、地域活性化の中心である。中小企業の約8割は東京以外にあるというが、この資源を地方創生に繋げることこそ重要で、その鍵は自治体、地域金融機関にもある。「地域のことは地域に聞け」だからである。
 ここ30年という視点では、人口減少だけでなく、企業数の減少も重要である。日本では人口が増加している時期にも企業数は減少しており、その大半は中小企業である。1980年代に530万社を数え企業数は、直近で385万社まで減少してきた。無論、新たな起業も多いのだが、それ以上に廃業する企業の方が多い。今こそ、経済の下支えをする「中小企業に光を」である。
 1990年代以降グローバリゼーションが進み、大手企業は製造業を中心に生産の海外移転を進めた。部品供給する多くの中小企業も海外進出を進める一方、中小製造業も海外に進出した。これらは、有力製造企業の下請けである場合もある(サプライチェーン型企業)。
 他方、地域で活躍する中堅中小企業も多く、特定の製品分野で国内外に高いシェアと収益力をもつニッチトップ企業、かつグローバル展開するグローバル・ニッチトップ企業が数千社規模で存在する。ニッチトップ企業は、企業戦略として市場のセグメンテーションを通じて自らが生み出したニッチ市場で高いシェアを有し、オンリーワンの存在となっている。このような企業を含む地域中核企業(コネクターバブ企業)は、牽引役としての役割を期待され、地域イノベーションの担い手である。さらに、東京の大田区や東大阪等の中小企業集積に見られる独自の技術を持ち、中小の製造業者同士が対等な立場で受発注する「横請け」を行う企業群もある。
 ところが、地方で7割を占める非製造業は国内に留まらざるを得ず、種々の困難に直面してきた。地域には、観光業を中心とするコングロマリット企業(ホテル、バス、タクシー、土産業、ゴルフ場などを構成)も地域では有力な企業である一方、地場産業・伝統産業として地域に貢献する企業も多い。
 このように、地域イノベーションを担う企業にはさまざまなタイプの企業がある。地方では、規模の小さい企業も多いので、小規模企業振興基本法が、2014年に制定され、そのイノベーターとしての役割に期待が集まっている。このようなイノベーターとしての中小企業を支援する体制は、1999年の中小企業基本法の改正以降種々整備されてきた。中小企業を二重構造の下部組織として捉え、その組織的な脆弱性の是正を意図した改正前基本法は、弱者救済的な色彩が強かったが、改正基本法はイノベーティブな中小企業の支援・育成に力点が置かれ、イノベーションの担い手として位置付けられた。中小企業に対する支援・育成も、小規模共済・倒産防止共済のようなセイフティネット整備、研修によるボトムアップ、政策的直接融資による資金支援などの政策システムから、民間資金の誘導、新事業創出支援を研究開発から販路支援まで行う地域プラットフォーム事業、世界に通用する国際競争力を持つ産業・企業を創出する産業クラスター・プロジェクト、新連携・農商工連携などの諸施策が展開された。この改正基本法の下での施策の理念を整理したのが、2010年の中小企業憲章制定であり、改正基本法で十分対応できなかった小規模企業を支援するのが小規模企業振興基本法である。
 このような中小企業基本法改正以降のイノベーターとしての中小企業支援システムを広く支えたのが金融の体系である。中小企業金融政策といえば、従来、中小企業金融公庫・国民生活金融公庫・商工組合中央金庫の3機関による直接融資による政策誘導・支援であった。基本法改正以降は、民間融資を支援する公的信用補完制度(公的信用保証)が車の両輪的な機能を果たすようになる一方、リスクマネーの供給を行うシステムとしてのベンチャー・ファイナンスが整備された。さらに、中小企業の取引費用を軽減する仕組みとして、電子記録債権、過度の不動産担保に替わるABL、個人保証の軽減化、自己資本不足に対応する資本性借入制度、間接金融を補完する市場型間接金融である証券化、企業価値を明確にする中小企業会計と非財務情報を表す知的資産経営などが整備され、中小企業金融の抜本的改善が図られた。他方、金融庁の地域密着型金融行政(リレーションシップ・バンキング)が、民間金融機関の地域金融の活性化を促した。
 本書は、このような中小企業基本法改正以降の中小企業支援・政策システムを金融の側面から体系化することを意図している。この点で、経済産業研究所の『通商産業政策史』は2000年までを網羅するが、21世紀についての研究成果はない。この点で、本書は未開拓の分野の整理となるといえよう。

目次


序 章 本書の構成と概要 ……1
 

第1章 日本型モデルとしての中小企業支援・政策システム ……17
   ――中小企業金融を中心した体系化                                 
第1節 はじめに――中小企業支援とその政策 ……17

第2節 中小企業政策 ……19
 1 中小企業基本法の全面改正 ……19
 2 改正基本法の理念 ……22
 3 中小企業憲章 ……23

第3節 中小企業政策・支援施策 ……25
 1 中小企業支援策 ……25
 2 中小企業金融支援――政策誘導効果・補助金効果等 ……26
  ⑴ 政策金融機関の直接融資 ……26
  ⑵ 信用補完制度――民間融資の誘導・促進効果 ……27
  ⑶ 地方自治体の制度融資 ……32
 3 民間金融の促進行政 ……33

第4節 中小企業金融の新たな手法――担保の拡大と知的資産 ……35
 1 検討のプロセス ……35
 2 動産担保の活用 ……36
  ⑴ 売掛債権担保融資 ……36
  ⑵ ABL ……37
 3 CRD ――リスク・データベースの構築 ……41
  ⑴ CRD ……41
  ⑵ CRD以外のリスク・データベース ……43
 4 定性情報の把握――知的資産・知的資産経営報告 ……44
  ⑴ 知的資産・知的資産レポーティング ……44
  ⑵ 統合報告書 ……45

第5節 中小企業金融の新たなインフラ ……48
 1 市場型間接金融 ……48
  ⑴ 複線的金融システムと市場型間接金融 ……48
  ⑵ 市場型間接金融の手法 ……50
  ⑶ 中小企業金融公庫(日本政策金融公庫)の証券化・同支援業務
    ――民間融資の促進効果、リスク低減効果 ……53
 2 電子記録債権 ……55
  ⑴ 電子記録債権 …… 55
  ⑵ 記録機関 ……57
  ⑶ 二つの電子記録債権 ……58 
 3 個人保証の問題 ……59
  ⑴ 中小企業金融における個人保証――個人保証の機能と問題点 ……59
  ⑵ 債権保全における個人保証の限界 ……62
  ⑶ 経営者本人保証の限定 ……63
 4 資本性負債(DDS、劣後ローン) ……64
  ⑴ 擬似エクイティ ……64
  ⑵ 資本性借入金(DDS)の活用 ……65
  ⑶ 金融検査マニュアルの改訂 ……66
 5 ベンチャー・ファイナンス ……67
  ⑴ ベンチャー・ファイナンス ……67
  ⑵ 中小企業基盤整備機構のベンチャー・ファンド ……70
  ⑶ クラウドファンディング ……73
 6 中小企業会計・会計参与 ……76
  ⑴ 中小企業会計 ……76
  ⑵ 会計参与 ……78 

第6節 結び法 ……79
 補記 中小企業金融円滑化法 ……80
  ⑴ 金融危機と金融円滑化法 ……80
  ⑵ 金融行政上の返済猶予措置 ……82
  ⑶ 実績 ……83
  ⑷ 金融円滑化法の有効性 ……84
  ⑸ 金融円滑化法の期限終了 ……86


第2章 中小企業憲章の制定とその意義 ……107
   ――中小企業政策のイノベーション
1節 はじめに ……107

第2節 憲章の位置付け ……110
 1 憲章の意味 ……110
 2 日本における憲章の事例 ……111
  ⑴ 児童憲章 ……112
  ⑵ 自然保護憲章 ……113
  ⑶ 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章 ……113
 3 国際的な憲章の例 ……115
  ⑴ 国際連合憲章(Charter of The United Nations) ……115
  ⑵ アセアン憲章(ASEAN Charter) ……116
  ⑶ EU基本権憲章(Charter of Fundamental Rights of The European Union) ……117
  ⑷ エネルギー憲章(Energy Charter) ……117
  ⑸ ボローニュ憲章(The Bologna Charter on SME Policies) ……117
  ⑹ オリンピック憲章(Olympic Charter) ……117

第3節 ヨーロッパの中小企業憲章 ……118
 1 欧州小企業憲章(European Charter for Small Enterprises) ……118
 2 欧州小企業議定書(“Think Small First”: Small Business Act for Europe) ……121

第4節 中小企業憲章の策定の動向 ……122
 1 中小企業憲章制定運動 ……122
 2 中小企業憲章制定を支持する議論 ……124
  ⑴ 吉田(2005)論文 ……124
  ⑵ 三井(2005)論文 ……126
 3 2010年「中小企業憲章」制定以後の対応――全商連の「日本版・小企業憲章」の提案 ……129

第5節 中小企業基本法との関係 ……129
 1 中小企業基本法 ……129
  ⑴ 中小企業基本法とその改正 ……129
  ⑵ 改正基本法の理念 ……131
  ⑶ 小規模企業振興基本法との関係 ……132
 2 小規模企業政策 ……133
  ⑴ 改正前・改正基本法における小規模企業 ……136
  ⑵ 小規模企業政策研究会 ……137
  ⑶ 小規模企業政策の方向 ……141

第6節 「中小企業憲章」 ……144
 1 “中小企業憲章”に関する研究会 ……144
 2 前文 ……147
 3 基本理念 ……148
 4 基本原則 ……149
 5 行動指針 ……150
 6  結び ……153

第7節 “ちいさな企業”未来部会とりまとめ ……159
 1 未来部会の基本認識 ……159
 2 小規模企業の理念・施策の方針・定義の弾力化、中核となる政策課題……162
  ⑴ 理念・施策の明確化と定義の精緻化・強化 ……162
  ⑵ 中核となる政策課題 ……163
 3 小規模企業振興基本法 ……166
  ⑴ 小規模企業振興基本法の制定 ……166
  ⑵ 小規模基本法の内容 ……166 

第8節 結び ……168


第3章 イノベーティブな企業の育成・支援 ……177
   ――ベンチャー・ファイナンス

第1節 はじめに ……177

第2節 金融イノベーション ……179
 1 情報の非対称性と金融システム ……179
 2 逆選択とモラル・ハザード ……181
 3 金融イノベーション ……182

第3節 イノベーションの金融的支援 ……186
 1 高橋泰蔵の所説 ……186
 2 シュンペーターの『経済発展の理論』(初版〔1912〕、第2版〔1926〕)……187
 3 シュンペーターの『経済発展の理論』における金融機能 ……189
 4 シュンペーター『資本主義・社会主義・民主主義』(1942) ……190
 5 小括 ……191

第4節 イノベーションの金融手法 ……192
 1 イノベーションと中小企業 ……192
  ⑴ イノベーションの担い手 ……192
  ⑵ ベンチャー企業の抱えるリスク ……194
 2 ベンチャー・ファイナンス ……197
 3 中小企業基盤整備機構のベンチャー・ファンド ……199
 4 ベンチャー・ファナンスの改革に向けて ……200
  ⑴ ベンチャー・ファナンスの特性 ……200
  ⑵ 融資の問題 ……201
  ⑶ ベンチャー向け資金の調達 ……202
  ⑷ 保証制度 ……203

第5節 イノベーションとリレーションシップ・バンキング ……204
 1 イノベーションとリレバン報告 ……204
 2 リレーションシップ・バンキングの補強――信用補完制度の改革 ……206 
第6節 ベンチャー・ファンドのパフォーマンス――中小機構のファンドの例 ……208
 1 ベンチャー・ファイナンス研究 ……208
  ⑴ ベンチャー・キャピタル ……208
  ⑵ 日本のベンチャー・キャピタル ……210
  ⑶ ベンチャー・キャピタルに関する先行研究 ……212
  ⑷ ベンチャー・キャピタルの審査能力に関する先行研究 ……213
  ⑸ 銀行系VCと独立系VCのパフォーマンス――アメリカの実証研究……215
  ⑹ 日本の実証研究 ……216  
 2 中小企業基盤整備機構のベンチャー・ファンドの実証研究 …… 220
  ⑴ 中小機構のベンチャー・ファンド研究の意図 ……220
  ⑵ 研究結果の概括 ……222
 3 分析の結果 ……225
  ⑴ 基礎分析の概要 ……225
  ⑵ 政策の有効性 ……227
 4 ファンド投資によるベンチャー企業の成長促進効果 ……228
  ⑴ ファンドの特性 ……228
  ⑵ 中小機構ファンドの特徴 -時系列的分析 ……235
  ⑶ 小括 ……245
 5 中小機構ベンチャー・ファンドの雇用創出効果 ――比較静学的分析 ……247
  ⑴ 全体的傾向 ……247
  ⑵ 規模別効果――従業員・売上高・投資規模 ……247
  ⑶ ファンド設立後の経過年数別効果 ……249
  ⑷ 投資先企業の業種分類別効果 ……253
  ⑸ ファンドの累計別効果 ……253
  ⑹ 地域別効果・GP別効果 ……253
  ⑺ ハンズオンの効果 ……255
  ⑻ 機構関与効果 ……255

第7節 まとめ ……258


第4章 信用補完制度の改革 ……273

第1節 信用補完制度――民間融資の誘導・促進効果 ……273
 1 信用補完 ……273
 2 信用補完制度の問題点 ……278
 3 信用補完制度の補助金効果――特別保証の例 ……280
  ⑴ 特別保証 ……280
  ⑵ 特別保証の損失額と政府出資――補助金効果 ……282
  ⑶ 会計検査院の指摘 ……283
 4 特別保証に対する評価――信用保証制度の経済効果 ……285
  ⑴ 特別保証の効果 ……285 
  ⑵ 肯定的な評価 ……287
  ⑶ 特別保証に関するネガティブな評価 ……288
 5 特別保証の以後の措置――緊急保証等 ……296

第2節 信用補完制度の改革 ……298
 1 信用保証の固有の課題――再論 ……298
 2 中政審『信用補完制度のあり方に関するとりまとめ』報告の概要 ……299
  ⑴ 検討の概要 ……299
  ⑵ 中小企業政策審議会の検討――検討の経緯 ……302 
第3節 中政審報告の内容 ……305
 1 包括的な運用改善による利用者の利便性向上 ……305
  ⑴ 保証協会の機能――経営支援・再生支援に係る金融関連サービスの強化 ……305
  ⑵ 企業再生との関連 ……306
 2 保証制度の多様化・柔軟化のための見直し ……308
  ⑴ 担い手の多様化 ……308
  ⑵ 不動産担保や保証人に過度に依存しない保証 ……308
 3 保証料率の弾力化 ……310
 4 事務効率化等 ……311
  ⑴ 保証協会の事務の簡素化・効率化 ……311
  ⑵ 免責条項の解釈の統一 ……312
  ⑶ 回収の合理化 ……313
  ⑷ リスク評価システムの活用 ……314 
第4節 中政審報告 ――金融機関との適切な責任分担と協調のあり方……315
 1 保証協会と金融機関との責任分担の必要性 ……315
 2 具体的方策 ……316
 3 信用補完制度の運営規律の強化と適切な評価 ……317
  ⑴ 保証協会の運営規律の強化 ……317
  ⑵ 中小公庫(現日本政策金融公庫)保険部門の運営規律の強化 ……318
  ⑶ 金融機関の制度利用に係る規律の強化 ……319
  ⑷ 中小企業者による自律的発展 ……319
  ⑸ 経済産業省による適切な指導・監督 ……320 
第5節 まとめ ……321

 

第5章 中小企業向け融資の金融インフラの整備 ……337
   ――電子記録債権・ABL
第1節 はじめに ……337

第2節 電子記録債権――新たな金融インフラ⑴ ……338
 1 電子記録債権  ……338
 2 実務的措置  ……342
 3 電子記録債権の導入の意味 ……344
  ⑴ 電子記録債権の導入の意味 ……344
  ⑵ 決済システムとしてのでんさいネット等 ……345
  ⑶ 中小企業金融に与える影響 ……346

第3節 ABL――新たな金融インフラ ⑵ ……348
 1 中小企業向け融資の手法 ……348
 2 日本でのABLの議論 ……352
 3 ABLの法的側面 ……354 
第4節 むすび ……355


第6章 市場型間接金融を活用する中小企業金融 ……359
   ――証券化
第1節 はじめに ……359

第2節 単線的金融システムから複線的金融システムへ ……361
 1 産業金融モデルの有効性 ……361
 2 単線的金融システムの課題 ……362

第3節 金融機能のアンバンドリング ……363
 1 市場型間接金融とアンバンドリング(融資の機能分化) ……363
 2 中小企業貸出のアンバンドリング ……365

第4節 市場型間接金融 ……365
 1 リレーションシップ・バンキングと市場型間接金融 ……365
 2 リレーションシップ・バンキングの補完 ……367
 3 市場型間接金融の手法 ……368
 4 証券化の展開 ……370

第5節 中小企業金融における市場型間接金融 ……373
 1 リレーションシップ・バンキングの強化・補完 ……373
 2 クレジット・デリバティブ、シンセティック型証券 ……374
 3 クレジット・スコアリングによるリレーションシップ・バンキングの補完 ……375
 4 信用リスク・データの整備によるリレーションシップ・バンキングの補完 ……378
 5 政策金融の役割 ……379

第6節 まとめ ……380


第7章 金融インフラの新たな手法としての資本性借入(DDS) ……383   ――金融イノベーションの視点から

第1節 はじめに ……383

第2節 「新しい中小企業金融の法務に関する研究会報告」(2003年7月16日) ……385
 1 検討の背景 ……385
 2 「新しい中小企業金融の法務に関する研究会」の概要 ……388
 3 資本性債務(DDS:劣後ローン) ……388
  ⑴ 中小企業金融当事者のニーズ ……388
  ⑵ リスクマネー供給 ……389
  ⑶ 資本的性格の資金(DDS、劣後ローン) ……390

第3節 DDSの基本的モデル ……392
 1 DDSの要件――基本的考え方 ……392
 2 具体的な金融商品 ……393
  ⑴ 株式型 ……393
  ⑵ 債務型 ……394
 3 活用の考え方 ……396

第4節 バーゼル合意(BIS自己資本比率規制)――自己資本比率規制と資本性借入 ……397
 1 バーゼル合意(BIS規制) ……397
 2 自己資本(分子)の項目――金融機関における資本性借入の扱い ……398
 3 バーゼルⅢ ……401

第5節 資本性借入金(DDS)の活用 ……403
 1 金融検査マニュアルの運用の明確化 ……403
  ⑴ 2004年6月の改訂――資本的劣後ローンの新規規定 ……403
  ⑵ 2008年3月の改訂――「准資本型資本的劣後ローン」の導入 ……406
  ⑶ 2008年10月の改訂――中小企業再生支援協議会版「資本的借入金」等 ……408
  ⑷ 2011年11月の改訂――「准資本型資本的劣後ローン」の活用促進 ……409
 2 中小企業金融円滑化法との関連 ……413
  ⑴ 中小企業金融円滑化法の成立 ……413
  ⑵ 返済猶予措置 ……414
  ⑶ 事業再生とDDS ……415

第6節 むすび――個人保証について ……417
 1 個人補償と信用補完 ……417
 2 個人保証の機能と問題点 ……419
 3 民法(債権関係)の改正と個人保証 ……420


第8章 ソフト情報としての知的資産と統合報告 ……429 

第1節 はじめに ……429

第2節 知的資産経営(報告書)――不動産担保・人的保証に依存しない金融の例……433
 1 知的資産経営 ……433
 2 企業価値の把握 ……434
  ⑴ 企業価値 ……434
  ⑵ 知的資産経営の意義 ……435
 3 知的資産経営の考え方 ……435

第3節 知的資産経営研究 ……437
 1 知的資産研究と各国の対応 ……437
   ――MERITUM(2002)、DMSTI(2003)、PRISM(2003)
  ⑴ MERITUM(2002) ……437
  ⑵ DMSTI(2003) ……438
  ⑶ PRISM(2003) ……439
 2 アメリカでの研究 ……439
 3 RICARDIS(2006) ……441
 4 ドイツなどの試み ……442
  ⑴ ドイツ ……442
  ⑵ スウェーデン ……442
  ⑶ オーストラリア ……443
  ⑷ フランス ……443
 5 資本主義観との関係 ……444

第4節 中小企業知的資産経営 ……446
 1 中小企業知的資産経営 ……446
  ⑴ 企業価値の把握 ……446
  ⑵ ソフト情報・定性情報・非財務情報 ――知的財産との相違 ……447
  ⑶ 金融機関との関係において ……448
 2 知的資産経営報告書 ……449
 3 『中小企業のための知的資産経営マニュアル』(2007年3月) ……452
 4 地域金融機関への期待 ……452
 5 『中小企業のための知的資産経営実践の指針』(2008 年10 月) ……454
 6 小活 ……458

第5節 統合報告書(Integrated Report)の考え方 ……459
 1 統合報告書――財務情報と非財務情報を統合する新しい潮流 ……459
 2 IIRCのディスカッション・ペーパー(2011年9月) ……461
 3 「統合」の意味 ……463

第6節 日本での議論 ……467 
 1 知的資産報告書の状況 ……467
 2 無形資産の学界での議論 ……467
 3 金融行政上の要請(ソフト情報の把握) ……469

第7節 むすび ……471


第9章 事業承継・事業再生の金融 ……483

第1節 はじめに ……483

第2節 事業承継の必要性 ……485
  1 経営者の高齢化 ……485
  2 事業承継と財務状況――黒字でも廃業の危機 ……488
  3 事業承継の実態 ……493 
  4 事業引継ぎの課題 …… 496 
第3節 事業承継と人材マッチング ……496
  1 外部人材の活用 ……496
  2 人材マッチング ……499
  3 新現役の活動を容易化するために ……502

第4節 事業承継の金融 ……506
  1 事業承継の政策的課題 ……506
  2 経営承継円滑化法の措置 ……508
  3 事業承継税制(経営承継円滑化法第12条) ……509
  4 金融支援措置(経営承継円滑化法第12―14条)  ……511
  5 MBO・EBO 支援の金融  ……513

 第5節 事業承継に関する先行研究 ……516
  1 先行研究 ……516
  2 安田・許(2005) ……518
  3 中小企業基盤整備機構調査(2008) ……518
  4 帝国データバンク調査(2013) ……522
  5 小括 ……522 
 第6節 事業再生 ……523
  1 事業再生問題 ……523
  2 事業再生の担い手 ……525
  3 中小企業再生支援協議会の概要 ……528
  4 中小企業再生支援事業再生の評価 ……533
  6 事業再生ファンド ……535

 第7節 中小企業の経営支援のための政策パッケージ ……539
  1 金融円滑化法の最終延長を踏まえた政策パッケージ ……539
  2 地域経済活性化支援機構と中小企業再生支援協議会の機能・連携の強化 ……543
  3 その他経営改善・事業再生支援の環境整備 ……547
  4 政策パッケージ(出口戦略)の意味するところ ……548
  5 新しい金融モニタリング(2013年9月、2014 年9月) ……550

第8節 事業再生の経済理論 ……552
  1 事業再生の経済理論 ……552
  2 メインバンクの機能 ……553
  3  協調の失敗 ……555

第9節 まとめ――事業再生の金融理論 ……556

経済学部専任講師・助教授・教授を経て、2005 年から新設の社会イノベーション学部教授。この間、中小企業政策審議会委員、金融庁参事・金融機能強化審査会長・金融審議会専門委員、情報通信審議会委員などを務める。2004年から2010 年まで(独)中小企業基盤整備機構副理事長兼務。著書に、『現代国際通貨論』(有斐閣、1985 年)、『現代日本の住宅金融システム』(千倉書房、1986 年)、『制度改革とリテール金融』(有斐閣、1994 年)、『リレーションシップ・バンキングと金融システム』(東洋経済新報社、2005 年)、『リレーションシップバンキングと知的資産』(金融財政事情研究会、2010 年)、『信用金庫論』(金融財政事情研究会、2015 年)、『元気な中小企業を育てる』(蒼天社出版、2015 年)など多数。

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『日本占領期性売買 GHQ関係資料』

16社協賛

出会った本はみな新刊だ!

専門書販売研究会は、2000年に人文・社会科学の専門書を発行している版元の4人の発起人によって「4社の会」として発足しました。小社の代表取締役である上野もその一人です。近年の、市場環境の変化は、専門書販売にとって厳しいものになりました。しかし長年研究を重ね出版された研究書・著作をうずもれさせてしまっては社会的損失と思い、「はじめてあった本は、いつも新刊」として読者へ・研究者へ・図書館へ書籍情報を発信することにしました。会員も増え「専門書販売研究会」と名称を変え、分野も多彩になり哲学・歴史・経済・農業・芸術まで網羅した会となりました。現在は16社で専門書の販売のための研究・情報を共有する活動をしております。
 これからも、コンセプト「はじめてあった本は、みな新刊」のもとに、日ごろ目にすることのない既刊書の再チャレンジを目指し、「こんな本もあったんだ」と言っていただけるように読者との出会いを目指します。​

🔳会員
大月書店 科学出版社東京 慶友社
言叢社 三元社 新泉社 新評論
蒼天社出版 千倉書房 筑波書房
刀水書房 同成社 批評社
ぺりかん社 めこん 緑風出版

大統領諮問委員会

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